ワンピースの時計が動き出す
- 作者: 尾田栄一郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1997/12/24
- メディア: コミック
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それを見て、僕は不思議に思った。ワンピースは過去や成長を描いているのに、「麦わらの一味」になったとたんに時を止め、漫画的な「終わらない日常空間(たとえばサザエさんのような)」になるのか?と。マンガで物語を表すには、時間の概念が必須になる。なぜなら「物語」は取り返しのつかない人生に他ならない。人生はすなわち時間の経過だからだ。時間が経過しないものはある種のユートピアであり、ある種の牢獄であり、いわゆるモラトリアムというものだろう。
だから僕は「ひょっとしてグランドラインって時の流れが異常になってて、一周したらみんな年を取る設定なのかな?」とか思っていたりした。ところが。
最近ワンピースの映画「ストロングワールド」があまりに面白かったので、パンフレットとか関連書籍を読み漁っていたら「この映画はルフィ17歳最後の物語なんです」と尾田先生が話しているのを目にした。どこだか忘れたし、確認はしないが、びっくりしたので多分間違いないと思う。
そして。この最近のジャンプの展開ですよ!!!!この大きな物語が終わったら、間違いなくルフィは18歳になるだろう。つまりは、そういうこと。楽しいだけのモラトリアムは終わって、物語が動き出したのだ。
ワンピースでもう一つ、僕が常々バランスが悪いなぁ、と思っていたことがある。それは、ルフィとゾロの物語が少ないこと。メインで、人気もあるだろう二人なのに、物語の初めだったからか、ちょびっとしかないのだ。ウソップやナミや、サンジや・・・仲間はみんな、あんな重い物語を背負っているのに。ま、連載の初めだったからしょうがないんだろうなーと思っていたんですよ、最近まで。そうじゃなかったってことがようやくわかった。どういうことか?
今まではルフィは狂言回しでしかなかったんだよね、仲間の物語の。仲間の人生に共感し、ルフィが仲間の人生に介入することで今までの話は進んできたわけですが、ここにきて、ついにルフィの物語が始まったんだよね。仲間は過去から解放されてルフィの現在につきあうようになった。これがいままでのストーリー。しかし、これからは、ルフィの現在の物語を、仲間が救い、ともに進む話になるわけですよ!!!
もう、楽しみで仕方が無い。どう考えてもつまらなくなりようがないもの、この流れ。ああ、ワンピースという未曾有の大傑作とともに人生を生きられる幸運を感謝しよう。
- 作者: 尾田栄一郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/02/04
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